「和風月名」日本の美しい月の名前とは？知ると暮らしが豊かになる理由

和風月名（わふうげつめい）って聞いたことがありますか？

普段、私たちは月のことを1月、2月って数字で呼びますよね。でも、日本には昔から伝わる和風月名っていう、すごく美しい呼び方があるんです。たとえば、お正月がある1月は睦月（むつき）、年末の慌ただしい12月は師走（しわす）って呼ばれていました。それぞれの月に、その季節の様子や、そこで暮らす人々の様子がぎゅっと詰まっているんですね。

和風月名を知ると、日本の豊かな四季や、言葉って奥深いなあって感じられるはずです。この記事では、1月から12月までの和風月名と、その由来や意味を分かりやすく紹介していきますね。ぜひ、日本の美しい言葉の世界を覗いてみませんか？

 

和風月名って、そもそも何でしょうか？

和風月名（わふうげつめい）って何でしょうか？ これは、日本に昔から伝わる、月の別名のことなんですね。

今は1月、2月は太陽暦で呼びのが普通ですよね。でも、昔の日本で使われていた旧暦（きゅうれき）、正確には太陰太陽暦（たいいんたいようれき）では、それぞれの月に季節を感じさせる、素敵な名前がついていたんです。それが、まさに和風月名なんです。

弥生（やよい）とか皐月（さつき）、師走（しわす）なんて名前は、きっと聞いたことがある方もいるでしょう。そう、これらがみんな和風月名なんですよ。

日本は、春・夏・秋・冬っていう四季の変化がすごくはっきりしていますよね。これって世界でも珍しいんだそうですよ。だから、昔から日本人は季節の移り変わりを敏感に感じて、それを言葉で表してきたんですね。そんな日本人の繊細な感覚とか、季節を感じ取る気持ちが、一番よく出ているのが、この和風月名だって言えるんじゃないでしょうか。

それぞれの和風月名に込められた意味を知ると、昔の日本人がその月にどんなイメージを持っていたのか、どんな風に暮らしていたのかが、すごくよく分かりますよ。これって、昔の日本人の心を知ることにもつながるんですね。

今は旧暦じゃなくて新暦（しんれき）を使っていますから、和風月名が持っている季節の感覚と、実際の季節がちょっとずれているところもあります。でも、言葉としての響きとか雰囲気って、今でも私たちの心に響きますよね。和風月名を知ることで、日本の美しい言葉とか文化を改めて知って、毎日の暮らしの中で季節の変化をもっと豊かに感じられるようになるはずですよ。

 

一覧で早わかり！1月から12月 和風月名と読み方、由来

まずは、1月から12月までの和風月名を一覧で見てみましょう。名前と読み方、そして簡単な由来をまとめました。

月	和風月名	読み方	由来（簡単）
1月	睦月	むつき	正月に家族や親族が仲睦まじく過ごす月。
2月	如月	きさらぎ	寒さで衣を更に着る、あるいは気候がよくなる月。
3月	弥生	やよい	草木がいよいよ生い茂る月。
4月	卯月	うづき	卯の花が咲く月、または田植えをする月。
5月	皐月	さつき	早苗を植える月。
6月	水無月	みなづき	実は「水の月」。田に水を張る時期。
7月	文月	ふづき／ふみづき	七夕の書物説や、稲穂が実る説など諸説あり。
8月	葉月	はづき	葉が落ちる月、または稲穂が張る月。
9月	長月	ながつき	夜が長くなる月。
10月	神無月	かんなづき	神様がいない月説と、神の月説がある。
11月	霜月	しもつき	霜が降り始める月。
12月	師走	しわす	僧侶（師）も走り回るほど忙しい月。

この表で全体の名前と由来をざっくりと把握できましたね。続いて、それぞれの月の名前について、由来や意味をもう少し詳しく見ていきましょう。

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12ヶ月の和風月名と由来・意味を詳しく解説

ここからは、1月から12月まで、それぞれの和風月名について、その由来や込められた意味を深掘りしていきます。

【1月】睦月（むつき）はその名の通り「仲睦まじい月」

新しい年の始まりである1月は「睦月（むつき）」と呼ばれます。

その由来として最も有力なのは、お正月に家族や親族が一堂に集まり、仲睦まじく（むつび）宴を楽しむことから、「睦び月（むつびつき）」が転じて睦月になったという説です。

一年の始まりを大切な人たちと祝い、親交を深める。そんな温かい情景が目に浮かびますね。この名前には、新しい一年が家族や親戚にとって良い年であるように、という願いも込められているのかもしれません。

また、稲の実を初めて水に浸す月であることから、「実月（むつき）」と呼ばれるようになったという説もあります。

 

【2月】如月（きさらぎ）は寒さで「衣を重ね着する月」？

2月は「如月（きさらぎ）」と呼びます。

如月の由来については諸説ありますが、よく知られているのは、旧暦の2月が一年で最も寒さが厳しい時期にあたるため、寒さで衣を更に着る（きさらぎ）ことから「衣更着」という字があてられ、それが「きさらぎ」になったという説です。

確かに、2月はまだまだ寒さが身に染みる時期ですよね。昔の人々も、この寒さを凌ぐために工夫していた様子が伝わってきます。

でも、実は寒さのピークが過ぎて、少しずつ気候が良くなりはじめるから、気候がさらに来る（きこうさらにくる）という意味で「気更来（きさらぎ）」と呼ばれた、という説もあるんです。

 

【3月】弥生（やよい）は草木がいよいよ生い茂る季節

3月は「弥生（やよい）」です。

長い冬が終わり、暖かな陽射しとともに自然が息を吹き返すこの時期。「弥（いや）」には「ますます」という意味があり、「生（おい）」には「生い茂る」という意味があります。

もともとは「草木弥生月（くさきいやおいづき）」と呼ばれていて、草木がいよいよ（いやおい）生い茂る月という意味が込められていました。それが略されて「弥生」になったと言われています。

現代の3月も、少しずつ春めいてきて、植物の芽吹きを感じられる季節ですよね。昔の人々も、この生命力あふれる季節の到来を心待ちにしていたのかもしれません。

 

【4月】卯月（うづき）は「卯の花」が咲く季節

4月は「卯月（うづき）」と呼ばれます。

卯月の由来としてよく言われるのが、この時期に白い小さな花を咲かせる「卯の花（うのはな）」が見頃を迎えることから「卯の花月（うのはなづき）」が略されて「卯月」になったという説です。卯の花はアジサイ科の落葉低木で、初夏を告げる花として知られています。

現代の4月は桜の季節ですが、昔の人々にとっては卯の花も季節を感じさせる大切な花だったのでしょう。

また、田植えを始める時期にあたることから、「植月（うつき）」が転じて「卯月」になったという説もあります。この時期の農作業の様子も名前の由来に関係しているのかもしれませんね。

 

【5月】皐月（さつき）は「早苗を植える月」のこと

5月は「皐月（さつき）」と呼びます。

皐月の「さ」という言葉は、古くは稲を意味していました。この時期は、苗代（なわしろ）で育てた小さな稲、つまり早苗（さなえ）を水田に植える「田植え」を行う大切な季節です。

そこで「早苗月（さなえづき）」と呼ばれていたものが省略されて「さつき」となり、後に「皐月」という漢字があてられました。「皐」という漢字にも水田という意味があるんですよ。

まさに、日本の稲作文化と深く結びついた月の名前と言えますね。この時期の田んぼに張られた水と、風に揺れる早苗の美しい風景が目に浮かびます。

 

【6月】水無月（みなづき）は実は「水の月」だった！

6月は「水無月（みなづき）」と呼ばれます。

「水が無い月？」と聞くと、「梅雨なのに不思議だな」と思うかもしれませんよね。でも、実はこの「無」は「無い」という意味ではなく、古代語で「の」にあたる助詞「な」に「無」という漢字があてられたもの、という説が有力です。

つまり、本来の意味は「水の月（みなづき）」なのです。この時期は田植えのために田んぼに水をたくさん張る必要がありますし、梅雨で雨も多く降ります。水が非常に重要な月だったことが分かります。

あなたの記事にもあったように、自分で田植えをしない都の人々や文人たちは、字面を見て文字通り水がない月だと思っていた、なんて話もあるそうです。名前の由来には、当時の人々の生活や解釈の違いも影響していたんですね。

 

【7月】文月（ふづき）はその由来に諸説あり？七夕との関係

7月は「文月（ふづき）」または「ふみづき」と読みます。

文月の由来は、実は平安時代にはすでに本来の意味が分からなくなっていたほど古く、はっきりしていません。そのため、様々な説が生まれました。

有名な俗説としては、7月7日の七夕に関係があるというものがあります。七夕は、願い事を書いた短冊を笹に飾る行事ですが、かつては書道や裁縫、芸事の上達を願って、短冊に詩歌などの文（ふみ）を書いていたことから、「文披月（ふみひろげづき）」が略されて「文月」になったという説です。

でも、実際には日本に七夕の行事が伝わる以前から「ふづき」という呼び方はあったようです。ですから、七夕が由来というのは、本来の意味が分からなくなった後で作られたものと考えられています。

他にも、稲の穂が膨らむ月という意味の「穂含月（ほふみづき）」が転じたという説などもあります。由来が不明だからこそ人々の想像力が働き様々な説が生まれたのですね。

 

【8月】葉月（はづき）は「葉が落ちる月」？旧暦ならではの意味

8月は「葉月（はづき）」と呼びます。

現代の感覚だと8月は夏の盛りで木々の葉が生い茂っている時期ですよね。でも和風月名は旧暦に基づいています。旧暦の8月は現代の暦だと9月頃にあたり、ちょうど秋の始まりとなります。

そこで「葉月」の由来として有力なのは、木々の葉が色づき始めやがて落ちる季節であることから「葉落ち月（はおちづき）」が転じて「葉月」になったという説です。

現代の8月とは季節感がずれていますが、確かに旧暦の8月（現在の9月頃）を考えると、少しずつ秋の気配が感じられ、葉が散り始める様子が目に浮かびます。

また稲穂が実って張り始める月という意味の「張り月（はりづき）」が由来という説もあります。この時期の豊かな実りの様子も、名前の由来に関係しているのかもしれませんね。

 

【9月】長月（ながつき）はまさに「夜が長くなる月」

9月は「長月（ながつき）」と呼ばれます。

この由来は比較的シンプルで、秋になり日が短くなって、夜がだんだん長くなることから「夜長月（よながづき）」と呼ばれていたものが省略されて「長月」になったという説が最も有力です。

「天高く馬肥ゆる秋」とも言うように、秋の澄んだ空気の中で夜がゆっくりと更けていく様子が目に浮かびますね。読書の秋、芸術の秋、なんて言われるのも、夜が長くなってゆったり過ごせるこの季節ならではかもしれません。

他にも秋の長雨が元になったという説や、稲を刈り入れる時期であることから「稲刈月（いねかりづき）」という呼び方があったという説もあります。

 

【10月】神無月（かんなづき）は本当に神様がいない月？

10月は「神無月（かんなづき）」と呼ばれます。

この名前を聞くと、「日本中の神様がいなくなっちゃう月なのかな？」と思いますよね。有名な俗説では、全国の八百万の神様が、農作物の収穫を感謝するために出雲大社（島根県）に集まるため、日本各地では神様が留守になる、だから神無月と呼ばれる、という話が広く信じられています。

この俗説があるため、神様が集まる出雲地方だけは10月を「神在月（かみありづき）」と呼ぶと言われています。出雲に集まった神様たちは人間の運命や縁（人間関係）について話し合う、なんて言われているそうですよ。ただしこれは出雲の御師（おし：社寺に所属して参拝を斡旋した者）が広めた宣伝である、という説もあるようです。

神無月の由来には別の説もあります。それは、本来は「神の月（かみのつき）」だったという説です。「無」は水無月と同じように、古代語で「の」を意味する助詞「な」に漢字をあてたもの、という考え方です。10月には秋の収穫を祝い、神様に感謝するお祭りや行事が各地で多く行われるため、「神の月」と呼ばれるようになった、という説も有力なのです。

恵みを与えてくださる神様に感謝する、本来はこちらの意味の方が自然なのかもしれませんね。

 

【11月】霜月（しもつき）は「霜が降りる月」の訪れ

11月は「霜月（しもつき）」と呼びます。

霜月の由来は、文字通り霜が降り始める月という意味です。この頃になると本格的な冬が近づき、朝晩の冷え込みが厳しくなり、地面に霜が降りるのを見かけるようになります。

霜が降りる様子は、冬の始まりをはっきりと感じさせてくれますね。植物が枯れ始め、寒々とした景色に変わっていく様子が目に浮かびます。

また、農作業を終えて、その年の収穫を神様に感謝するため、神楽（かぐら）を行う月から「神楽月（かぐらづき）」という別名もあったそうです。

 

【12月】師走（しわす）はなぜ忙しい？由来は諸説あり

12月は「師走（しわす）」です。

師走と言えば、年末が近づき、誰しもが慌ただしくなるイメージがありますよね。その由来も、やはり忙しさに関係しているという説が有力です。

最もよく知られているのは、普段は落ち着いてあまり外を歩かないお坊さん（師）ですら、年の瀬の読経やお布施集めなどで東西を駆け回るほど忙しい月であることから、「師（僧侶）が走る」という意味で「師走」になったという説です。ここでいう「師」は、学校の先生（教師）ではありません。

ただし、師走の由来もはっきりしておらず、平安時代にはすでに本来の意味が分からなくなっていたようです。そのため、この「師が走る」という説も、後から考えられたものと言われています。

他にも、年の最後にするべきことを「為果つ（しはつ）」と言うことから転じたという説や、四季の果てる月「四極月（しはつづき）」が転じたという説など、様々な考え方があるようです。

いずれにしても、一年を締めくくる後片付けや、新しい年を迎える準備などで忙しくなるのは、今も昔も同じなのですね。

 

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和風月名を知ると日本の季節がもっと面白くなる！

ここまで、1月から12月までの和風月名とその由来を見てきました。

睦月、如月、弥生……それぞれの名前には、日本の豊かな自然や季節の移り変わり、そしてそこに暮らす人々の営みが色濃く反映されていましたね。

現代使われている新暦は、季節と月の名前の意味が少しずれている場合があります。例えば、葉月（8月）が「葉が落ちる月」というのは、現代の感覚とは違いますよね。これは、和風月名が旧暦に基づいているからです。旧暦は現代の暦よりも1ヶ月ほど遅れていると考えてもらうと、このズレも理解しやすくなるでしょう。

でも、たとえ季節が少しずれていたとしても、和風月名が持つ言葉の響きや、その由来に込められた季節感や日本の情緒は、現代に生きる私たちにも十分に伝わってきます。

和風月名を知ることで、普段当たり前に過ぎていく日々の中にも、季節の小さな変化や日本の言葉の美しさを感じ取れるようになります。空を見上げたり、草木に目を向けたりしたときに、「ああ、今は〇〇月のような季節なんだな」と、より深く季節を味わえるようになるでしょう。

和風月名は、単なる昔の月の名前ではありません。それは、日本人が古くから大切にしてきた季節への思いや、自然と共に生きてきた知恵が詰まった、私たちの心に響く美しい言葉なのです。

 

まとめ

この記事では、1月から12月までの和風月名と、その由来や意味について詳しくご紹介しました。睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、葉月、長月、神無月、霜月、師走。それぞれの名前に、季節の情景や人々の暮らしが織り込まれていることを感じていただけたでしょうか。

和風月名を知ることは、日本の豊かな四季を感じ取るアンテナを増やすことにつながります。旧暦に基づいているため、現代の暦と季節感が少しずれることもありますが、その言葉の響きや由来に触れることで、昔の人々がどのように季節を感じ、言葉にしていたのかを垣間見ることができます。

日々の生活の中で、カレンダーやニュースなどで和風月名を見聞きしたとき、この記事で知った由来や意味を思い出してみてください。きっと、日本の言葉や文化の奥深さを再認識し、普段の景色が少し違って見えるはずです。和風月名は、私たちが忘れがちな日本の美しい季節感を思い起こさせてくれる、素敵な言葉たちなのです。