ラクシュミーはインド神話の富と美の女神

ラクシュミーはインドの女神です。

最も美しく幸運と富を与えてくれる女神です。夫のヴィシュヌとともにインドでも特に人気のある神様です。

仏教に取り入れられて吉祥天の名前で日本に伝わりました。

ラクシュミーをわかりやすく紹介します。

目次

ラクシュミー(Lakshmi)

別名:シュリー(Shri)、パドマー(Padma)

仏教名:吉祥天

父:賢者ブリグ
夫:ヴィシュヌ(インド三大神の一柱)

ご利益:幸運、富、美

ラクシュミーはヒンズー教の三大神ヴシュヌの妃。ヴシュヌはシヴァとともに現在インドで最も人気のある神様です。

インド版キューピット愛欲神カーマの母親でもあるんですね。

古代インドの聖典リグ・ヴェーダでは「蓮華に立つもの」「蓮より生まれたもの」「蓮の花輪を帯びるもの」などの呼び名があります。仏教の天部の神やヒンドゥー教の神もリグ・ヴェーダ出身が多いです。

赤い服を着て蓮の花の上に座り、蓮の花を持っている姿で描かれることが多いです。富の女神らしく貯金箱(金の入った器)を持っていることもあります。象といっしょに描かれていることが多いですが、あとで紹介するラクシュミー誕生の物語に象が出てくるからです。

ラクシュミーのご利益は、富・繁栄・美・快適な暮らしです。

金銭的に悩まされることなく精神的にも物質的にも恵まれた生活ができるといわれています。またラクシュミーは美しい神様で美の女神ともいれます。

ラクシュミーは海から生まれたり愛欲神カーマの母親だったりと、ローマ神話のウェヌス(英語読みでヴィーナス)と似たところがあります。

仏教では吉祥天ともいわれます。吉祥天も財運の神様ですね。

ラクシュミーのマントラ

インドの神様にはマントラがあります。

ラクシュミーのマントラを紹介します。

毎日唱えると上に書いたようなラクシュミーのご加護が得られるといいます。

オーム スリーム フリーム マハ ラクシュミイェー ナマハ
Om Shreem Hreem Maha Lakshmiyei Namaha

マントラの意味は簡単に言うと

「ああ、偉大なラクシュミー様に帰依します。お力をお貸しください」という内容です。

「Namaha(ナマハ)」が「帰依します」になります。ほとんどのマントラにナマハは付いてますね。

帰依とは「神や仏を信じておすがりすること」。単に信じるのではなく「心から信じる」ことです。だからマントラは唱えただけでは効果はないんです。信じてもいないのにマントラを唱えると嘘をついたことになるんですよ。

密教の真言で最後に「薩婆訶(ソワカ)」とついてるものがありますね。薩婆訶とNamahaは同じ意味なんです。

マントラや真言を唱えるときには本当に神様を信じてお願いしましょうね。

ラクシュミーの神話

 ラクシュミーとヴィシュヌが出会うまで

ラクシュミーは賢者ブリグの娘でした。

ブリグは七聖賢のひとり。七聖賢は厳しいヨガの修行を行って超能力を身に着けた聖人です。神ですら従わせるほどの超能力をもっているといわれています。

あるとき、七聖賢たちはシヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマーの三大神のなかで誰が一番偉いのか話題になりました。直接会えばわかるというのでブリグが会いに行きました。

ブリグはまずブラフマーに会いに行きました。しかしブラフマーは尊大な態度をとったのでブリグは「このような尊大な神は誰からもあがめられなくなれ」と言いました。事実、ブラフマーは三大神の中でも最も人気のない髪になりました。

ブリグが次に会ったのがシヴァでした。ところがシヴァは妻のパールヴァティーと睦み合っている最中でした。シヴァはブリグが来たことを知らされていても「取り込み中である」と会おうとしません。ブリグは辛抱強く待ちました。しかしいつまでたってもシヴァは会いません。ブリグは数百年の間待たされました。さすがにブリグの我慢は限界にきて「このような神はリンガ(性器)の姿で拝まれるようになれ」と言って去ってしまいました。

ブリグが最後に会ったのがブラフマーでした。ところがブラフマーは昼寝の最中でした。ブリグはシヴァに待たされて腹がたっていたので、なんとブラフマーをけとばしてしまいました。

ブラフマーは目を覚ますと起こるどころか「足は大丈夫ですか?」とブリグを気遣ったのです。ブリグはヴィシュヌの態度にすっかり感心しました。ブリグが一番偉大な神だと決めました。この時のブリグとヴィシュヌの縁がヴィシュヌとラクシュミーの仲をとりもつことになったといわれます。

女神ラクシュミーの誕生

ラクシュミーがまだブリグの娘だったころのお話です。

ある聖賢の呪いで天界に災いが訪れたました。聖賢は普段は温厚ですが、一度怒らせると災いを引き起こすことがあるのです。

ラクシュミーは呪いを逃れるため海に逃げ込み海の底で眠りにつきました。

本来ならここで永遠の眠りについているはずでした。ある事件が起きるまでは。

あるとき世界を大洪水が襲い多くのものが失われました。

特に問題になったのは神々の主食アムリタが失われてしまいました。

アムリタとは不死の飲み物。神々はアムリタを飲んでいるおかげで不死でいられるのです。困った神々は集まって相談した結果「アムリタを作り直すしかない」という結論になりました。しかしこれは大仕事でした。アムリタを作るためには海を長い年月かき混ぜなくてはいけないのです。

神々と悪魔、怪物が協力して行うことになりました。

ブラフマーが大蛇アーナンダーにマンダラ山を引き抜くように命令しました。海をかき回す攪拌棒にするためです。

ヴィシュヌが亀クールマに変身してアムリタの少なくなった乳海に降り立ちました。引き抜いたマンダラ山をクールマの背中に載せました。マンダラ山に竜王ヴァースキーが巻き付きました。神々はヴァースキーを引っ張ってマンダラ山をぐるぐると回しました。海をかき回す巨大なミキサーです。

神々と悪魔は気の遠くなるような年月をかけて海をかき回しました。体を引っ駆られる痛みでヴァースキーは炎を吐き出しました。神々は炎に耐えながらもかき回しました。海の中ではマンダラ山によって生き物が押しつぶされました。マンダラ山では摩擦で火事が置きて多くの生き物が死にました。それほどの犠牲を出してでも神々はアムリタを作るのをやめませんでした。見かねたインドラが大雨を降らせて山火事を消しました。すると様々な鉱物や樹液、草花の汁が押し流され海に流れ込みました。やがて海は白く濁ってきました。アムリタができる前兆です。

白く濁っった海からさまざまなものが誕生しました。天女アプサラス、月の神ソーマ、そしてラクシュミーも誕生しました。その後も様々な宝が生まれ最後にあわられたのがアムリタでした。

ラクシュミーは蓮の花の上に座って登場しました。世界を支える像は金の水指から聖水をふりかけ祝福しました。

海の底で眠りについていたラクシュミーは美しい女神に成長していました。ラクシュミーを見た神々はラクシュミーに一目惚れしました。最初に声をかけたのは破壊神シヴァでした。しかしラクシュミーが選んだのはヴィシュヌでした。ヴィシュヌもラクシュミーが好きになり相思相愛で結婚しました。

シヴァはラクシュミーにフラれたことをかなり悔しがりました。シヴァはヴァースキー竜王が吐き出した毒を飲んで自殺しようとしましたが死ねませんでした。妻のパールヴァティーがとっさにシヴァの首を締めたので毒を飲み込めなかったのです。このあとシヴァはヴィシュヌを目の敵にするようになります。

しかしラクシュミーがシヴァを選ばなかったのは、ある意味当然ともいえます。かつてブリグがシヴァのもとを訪れたとき、シヴァは昼間からパールヴァティーと睦み合っていてブリグに会わなかったのですから。

世界一中のいい夫婦

ラクシュミーとヴィシュヌは大変仲がよく、インド神話で最も仲のいい夫婦といわれています。

ヴィシュヌは地上の民に危機が訪れると信者たちを助けました。このときヴィシュヌは様々な形に変身して地上に降臨しました。ラクシュミーはそのたびに変身してヴィシュヌの化身を助けました。

ヴィシュヌがラーマ王子に化身したときは、ラクシュミーはシータ姫に。

ヴィシュヌがクリシュナに化身したときは、ラクシュミーは母ラーダと妻ルクミニーになり2回降臨しました。

富と幸運を司るラクシュミーはヴィシュヌの化身を助けました。

インド神話だけでなく世界中の神話をさがしてもこれほど仲のいい夫婦はいないかもしれません。

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