京都伏見にめでたい名前の神社があります。
その名も 金札宮(きんさつぐう)と呼びます。
昔、金の札が降ってきたのでこの名前が付いたとか。
ご利益のありそうな名前ですね。
住宅地の中にひっそりとたたずむ、小さな神社ですが実はここは由緒ある場所。
「銀座」という地名は東京が有名ですよね。でも日本で最初に「銀座」という街が出来たのは京都伏見なんです。銀座の意味は、お金を作る場所。その銀座発祥の地。伏見にあるのが金札宮です。
一部で金運の神様としてコアな人気を誇る神様です。
金札宮のご利益
金札宮のご利益は「五穀豊穣」「火難除去」「開運・幸福」です。
めでたい名前のわりに「金運・財運」のご利益ないの?と思うかもしれません。
金札宮のご祭神は、白菊大明神(天太玉命・あめの ふとだまの みこと)、天照大御神(あまてらす おおみかみ)、倉稲魂命(うかの みたまの みこと)。
天照大御神は日本の総氏神ですが、稲作の神様でもあるのです。
日本という大きな人の集まりが平和でないと、私たち個人も安心して暮らせません。世の中が平和であることを願いましょう。
天太玉命は、占いや儀式をつかさどる神様。
その霊力で災いをはらってくださいます。
と聞くとますます関係ないと思うかもしれませんが。
なにごとも福を呼び込む前には邪な考えや厄を払わないと効果はありません。
悪いものを出してから、良いものをとりこまないんといけないという考えです。
今流行りの「デトックス」の考えを大昔に実践していた神様といえるかもしれません。
倉稲魂命は五穀豊穣の神様。
作物がたくさん取れるという事は、食べ物にも困らないし裕福になれるという事です。
実は倉稲魂命というのは「伏見稲荷」のご祭神でもあるんです。
あちらでは「お稲荷様」と呼ばれてますが、金札宮では倉稲魂命と呼ばれています。
神様は同じなので、豊かにしてくれる神様であることには違いありません。
となると。やっぱり金運とは無関係ではないですね。
しかも、金札宮でも金運にちなんだお守りを売ってます。
やっぱり、金運の神様なんですね。
お金だけじゃなくて、世の中や個人の災いを取り除いて豊かな生活を送れるようにしてくれる。ありがたい神様です。
金札宮の由緒
伏見でも最も古い神社のひとつといわれています。
村のいいつたえによると。
金札宮のはじまりは奈良時代、天平勝宝2年(750年)までさかのぼります。
当時、大きな流れ星が降ってきました。
当時の女帝・孝謙天皇はおどろいて「もしかして、よくない事の前ぶれ?」と心配しました。
そのとき、伏見の地におじいさんがいて白菊を楽しそうに植えていました。近所の人たちは不思議がっておじいさんの名前を聞きました。
おじいさんは「太玉命」と名乗りました。そして「もし干ばつになってもこの白菊で露をそそごう」と言って手にした白菊を振ると、清らかな水が湧き出しました。
更に「この白菊のご利益にあずかれば、幸福になって、家は栄えて、火災の被害にあわなくなるだろう」といいました。
村人はおどろいて、天皇に報告しました。
天皇は喜んで「金札白菊大明神」の名前を与えたので、村人は協力して神社を造ったという事です。
また、別のいいつたえでは
平安時代に桓武天皇の命令で伏見に神社を造ることになりました。
そこで神社を建設していると空から金の札が降ってきました。
その札には「長く伏見に住んで国を守る」と書いてました。
村人達が集まって何事かと騒いでいると天から声がして「私は伊勢神宮の使いの天の太玉命だ、瑞垣(神社の垣根、つまり神社のこと)を造って私をまつりなさい」と言いました。
そこで、本社と金札を祀る金札の宮を立てたと言われています。
この話は「金札」という「能」にもなっています。
境内の見所
クロガネモチの木
鳥居をくぐってすぐのところにある大きな木です。
樹齢1200年ともいわれ、京都市の天然記念物になってます。
クロガネモチの木は「苦労しなくても金持ちになれる」という意味に解釈できるので、金運の木だと言われる事もあります。
別の地域では「苦労してこそ金持ちになりなさい」という意味が込められているとも言われます。
ようするに語呂合わせなんですが。縁起のいい木であると言われています。
もともとは、若い枝や葉っぱの軸が紫っぽくてクロガネ(鉄)の色に見えるモチノ木という意味で、黒金黐(クロガネモチ)と名づけられたそうです。
クロガネモチは丈夫で虫が付きにくく、大気汚染にも強いといわれ、家の周りに植えて防火の役目をさせたりと重要な木としてよく植えられています。また、樹液から鳥もちを作ることが出来ます。
縁起のよい木なので民家に植えられることもありますし、公園や街路樹としても植えられています。
金札宮という縁起のいい名前の神社にあると、ますます縁起のいい木のように思えますね。
参道が曲がってる?
この画像を見てください。
鳥居から続く道が途中でくの字に折れ曲がってるように見えませんが?
設計ミスではありません。わざとこうしてあるんです。
神様の通る道と人間の通る道は別けた方がいいという考えが神道にはあります。
そこで、まっすぐ人が入れないようにわざと道を曲げてあるんです。
他の神社もこうした考えで造られているものがありますが、金札宮は特に分かりやすいです。
入ってみるとき、気をつけて見てください。
縁起のいい神様も
境内には恵比寿社、稲荷社、金刀比羅社、大国主社等の末社があります。
開運、財運の神様が勢ぞろい。こんなところも、金運の神様といわれる由縁でしょう。
しかも稲荷社は公岡稲荷大明神、常盤稲荷、橋岡稲荷の三つもあるんですよ。
末社の中で一番大きなのは公岡稲荷大明神。
えびす様も祀られています。
えびす様の手にしている鯛の顔がユーモラス。
おみくじで腕だめし?
金札宮にはちょっと変わったおみくじがあります。
鉄でできてるおみくじです。しかも鎖付き。
もちろん鉄なのでかなり重い。
中から鉄の棒を取り出して、出てきた棒に刻まれた数を読んで。
正面に書かれた額の文字と照らし合わせて吉凶を判断します。
でも額にかかれた文字が読みにくくて、かなりの読解力がいります。
現代人には吉か凶かの判断するのがやっと・・・かもしれません。
しかも、振って取り出すのは腕力いります。
自由に出来るので試してみるのもいいと思います。
金札宮のある通りには金運の寺として有名な大黒寺もあります。
歩いて1、2分で行けるので一緒にお参りすることをお勧めします。
アクセス
・電車
京阪電車・・・京阪丹波橋駅下車徒歩約6分
特急が止まります。
・JR京都駅からは?
近鉄線にのりかえて近鉄丹波橋駅下車。徒歩約7分
特急が止まります。
・駐車場はありません。
住所:京都府京都市伏見区鷹匠町8
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