てんとう虫のいい伝えと伝説

てんとう虫

てんとう虫は世界各地で幸運の虫と考えられています。

丸くて小さな体に鮮やかな色。

可愛らしいてんとう虫は世界中でよい生き物のイメージを持たれているようです。

てんとう虫の言い伝えや伝説を集めてみました。

 

目次

てんとう虫の伝説と言い伝え

聖母(女神)の使い

赤いてんとう虫は聖母や女神の使者。

北アメリカではてんとう虫は「ladybug」、イギリスや他の英語圏では「ladybird」や「ladybeetle」といいます。

イギリスでてんとう虫を”ladybird=聖母の鳥”と呼んだのがはじまりです。てんとう虫は鳥ではありません。”bird”は「空を翔ぶ生き物」くらいの意味です。

つまりてんとう虫は「聖母の虫」なのです。

というのも古い時代の宗教絵画では聖母は赤いマントを身につけていたからです。

聖母マリア

中世になると聖母マリアのイメージカラーは青になりました。聖母には「清楚」さが必要とされたからでしょうか?

でもてんとう虫はそのまま「ladybird」と呼ばれました。

どうやらてんとう虫の「lady」の意味はもともとは女神フレイア のようです。フレイアは北欧神話の美と魔法の女神として知られます。でも古代には北欧だけでなくゲルマン系の人々の間で信仰されていました。

ゲルマン人の血はイギリス・ドイツ・オランダ・フランスの人々にも受け継がれています。ちなみに英語の金曜日「Friday」はフレイアまたはフリッグ(神々の女王)に由来すると言われます。英語やドイツ語にはわりと北欧神話由来の言葉が多いです。

彼らにとって女神といえばフレイアやフリッグ。フレイアは情熱的な女神です。そのイメージが赤い色のてんとう虫に重なったのでしょう。

キリスト教がヨーロッパに伝わると フレイアがマリアに置き換わって現代に伝わっているのです。

初期のマリアのイメージには古代ヨーロッパの人々が信仰していた女神の面影が残っているでしょう。

つまり、てんとう虫は女神の使者だったのです。

喜びと苦しみを背負うナナホシテントウ

赤い背中に七つの星がある「ナナホシテントウ」はヨーロッパにもいます。

ヨーロッパでは背中に7つの点をもつ、ナナホシテントウは「喜びと悲しみ」を意味します。

ヨーロッパでナナホシテントウの七つの星は聖母(正教では生神女)マリアの「七つの喜びと、7つの悲しみ」を意味すると考えられました。聖母マリアは生涯の中で7つの喜びと7つの苦しみを味わったとされています。

その聖母マリアの7つの喜びと苦しみを分かち合おうという信仰がマリア信仰にはあります。そこから7つの点をもつナナホシテントウは聖母マリアの象徴になったのです。

そして悲しみを乗り越えた聖母マリアは天使の女王になったとされます。

日本ではお天道様の虫

日本語名の「てんとう虫」は漢字で書くと「天道虫」。

「おてんとうさま」の「天道」です。

おてんとう様は空で地上世界を見守っている太陽神のことですね。

もともと「天」の信仰はユーラシア大陸に広く知られた考え方です。星や 空(そら)を最高の神と考える信仰でした。

でも日本では「お天道様」といえば太陽の意味です。

これはてんとう虫は草や枝の先から空に飛び立って見えなくなるから。昔の人が「おてんとうさまのところに飛んでいった」と考えたからです。

赤くて丸いところも太陽を思い浮かべる理由かもしれません。

アブラムシや害虫を食べるナナホシテントウはとくに農家の人たちからは大切にされていました。子供のころ私は「赤いてんとう虫は殺してはいけない」と教えられました。それは「アブラムシを食べる益虫だったから」というもっともな理由があったのですが、お天道様の使いという古い言い伝えが残っていたのかもしれません。

太陽神 天照大神は女神です。偶然にも日本でもヨーロッパでもてんとう虫は女神(聖母)と関係のある虫だったのですね。

 

幸運の虫

世界各地でてんとう虫は幸運の虫と考えられています。

トルコ、ロシア、イタリアなどでは、てんとう虫が現れるのは願い事が叶う前兆といわれます。

トルコ語の「uğur böceği」はそのものズバリ「幸運の虫」。

ロシアやポーランドなど東ヨーロッパではそれぞれの国の言葉で「神の動物」とよばれています。

イスラエルでは「小さなメシア(救世主)」と呼ばれることもあります。

てんとう虫が飛ぶ姿を見たら願いが叶う前兆。

良いことが起きるかもしれません。

 

 

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