ご利益があると話題のサムハラ。大阪が有名ですが京都にもサムハラのお守りがありました。それが鎌達稲荷(けんたついなり)です。その神社は平安時代に東寺とともに造られた西寺跡地にあります。現在は公園になっている唐橋西寺公園の北側。住宅地の中にひっそりと佇んでいます。安倍晴明の子孫・土御門家や、平将門を密教の術で調伏したという平安時代の僧侶・浄僧貴所など、すごい人達とゆかりの神社でもあるのです。
鎌達稲荷(けんたついなり)の見どころ
御祭神
本殿にお祀りされる神様
倉稲魂大神(うがのみたま の おおかみ)
五穀、衣食住、商工業発展、開運の神
猿田彦大神(さるたひこ の おおかみ)
導き、交通安全、家内安全の神
由緒
詳しいことはわかりませんが。社伝によると奈良時代の和銅4年(711年)に鎮座とされます。これは稲荷社(現在の伏見稲荷大社)の創建年と同じです。
室町時代
天文7年(1538年)。土御門家によって祭祀が行われたといわれます。創建当初の鎌達稲荷は七条村の梅小路、土御門邸の東のあたりにありました。
江戸時代
元和6年(1620年)。社殿が再建。
安政4年(1857年)。新しい社が完成。そのとき奉納された御神鏡には飛鳥時代の仏教伝来(538年)の頃のご鎮座。伏見稲荷大社よりも古い元稲荷ということです。
明治時代
明治44年(1911年)。鎌達稲荷は梅小路軌道(線路)拡張のため現在の地に移転しました。
土御門家
平安時代に活躍した陰陽師・安倍晴明の子孫。平安時代の土御門家は土御門大路と西洞院大路の交わる辺り(京都市上京区土御門町)に屋敷がありました。そのため室町時代に土御門家と名字を変えました。
室町時代後半、応仁の乱から戦国時代の戦乱のため土御門家は他の公家達とともに若狭(福井県南部)に避難しました。戦乱が終わり京都に戻ってきましたが土御門有脩(つちみかど ありなが)が豊臣秀次の謀反に加担したとして豊臣秀吉によって京都を追放されました。
関ヶ原の戦いの後。徳川家康の命令で京都に戻りました。土御門有脩は梅小路の領地を与えられ、そこを活動拠点にしました。以後、土御門家は陰陽寮の要職を務めるとともに全国の陰陽師の元締めとして活動。明治時代に陰陽寮が廃止になるまで続きました。
本殿
境内の奥に鎮座する本殿。現在の建物は 平成8年(1996年)に建てられたものです。
白菊稲荷大神(しらぎくいなりおおかみ)
ご祭神:白菊大神
本殿の左側に鎮座します。伏見稲荷大社がある稲荷山の三ノ峰に鎮座する白菊大神と同じ神様。伏見稲荷から勧請された神様です。
浄僧貴所之柄(じょうぞうきしょのつか)
本殿の右奥にあります。写真右側の石塔。
浄僧貴所(じょうぞうきしょ)は平安時代の天台宗の僧侶。若い頃、延暦寺や大峰山、葛木山、那智山の世知を巡り修行しました。
天文・医療に優れていたといいます。大威徳法という密教の術を使い平将門の反乱を鎮圧したり、父・三善清行を生き返らせた。傾いていた八坂の塔と直した。などの逸話も残ります。吉祥院にある三善家の菩提寺・浄蔵寺で住職をしながら鳥羽村や七条村にも行って祈祷や治療、占い、子供の名前を決めるなど庶民の助けとなりました。74歳のとき高台寺付近にある雲居寺で死去したとされますが各地に塚があります。
鎌達稲荷境内にある塚も梅小路にあったのを移転したものです。
宇賀神
左手にあるのが宇賀神(うがじん・うがかみ)。神様。幸福・財運・知恵などの神として中世に広まりました。仏教用語で「財施」を意味する宇迦耶(うがや)が元になっているともいわれます。宇賀神はとぐろを巻いた蛇の体に老人か女性の頭を持つ神とされます。天台宗では弁財天と合体して宇賀弁財天として信仰されました。宇迦之御魂と同じだともいわれます。鎌達稲荷でも代々お祀りしていたので、御祭神の倉稲魂大神と同じと考えられているようです。
授与品
授与所は社殿の右の建物の入口にあります。無人なのでセルフです。
小さなタンスのような入れ物にお守りや御朱印が入っています。それぞれいくらお納めするのか書いてるので。授与料はお賽銭箱に入れます。お釣りはでません。授与料以上のお金はお賽銭あつかいになります。800円のお守りに1000円治めたら、200円がお賽銭ということです。
サムハラのお守り
サムハラのお守りもこちらにあります。一体800円。
弾除け、魔除けにご利益があるといわれるお守りです。全体が金色に光る神々しいお守りです。
サムハラとは
神社の説明によると、不思議の四文字は戦国時代・日清日露戦争で多くの武将や兵士が災難除けのために身に着けていたおかげで軽いけがで済んだ。と伝えられています。サムハラという文字は文字そのものに力が宿るとされます。
もとは仏教用語の「三跋羅」(サンバラ:saṃvara)だといわれます。saṃvaraとは人が悪に堕ちるのを防ぐため戒律を作って守ることです。そこから「防護」や「護る」意味があると考えられました。
また、古代中国の生命の神や日本神話の造化の三神だともいわれます。
鎌達稲荷の情報
住 所 : 〒601-8466 京都府京都市南区唐橋西寺町57−1
公式サイト:なし
アクセス
鎌達稲荷に行くのは電車が便利です。
駐車場:なし
電車
阪急電車 JR西大路駅より徒歩10分。
近くには六孫王神社や東寺もあります。
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