古来より人々は「数そのものに意味がある」と考えてきました。
縁起の良い数、悪い数など数字には様々な意味があります。
数は大きさや量を意味するだけの記号ではないのです。
そこで数字にまつわる世界中の伝説・言い伝えをあつめてみました。
占いやスピリチュアルな意味も世界の伝説や言い伝えが元になっていることも多いです。
世界に伝わる数の意味を紹介します。
世界中の数の意味
1(一)
・1は自然数(ゼロや少数ではない、物を数える数)の最初。すべての数字の基本になる数です。
・一神教では1は宇宙で最高の数。神のような数とされました。キリスト教やユダヤ教で天の神(ヤハウェ)が天地を創造したように、1がすべての数を生み出すと考えられました。
・統一を意味します。
・星の中では太陽を意味する数です。
・順位を決める時の「1位」は最高の名誉。そのため1は最高の数、一番強い数とされます。
・東洋でも「最高」「幸福」を意味する数字です。
・他には無い世界にただ一つのもの「唯一」を意味します。
・カバラのセフィロトでは「思考や創造」を意味します。
2(ニ)
・2は最初の偶数です。
・天と地、光と闇、陰と陽、男と女、火と水、昼と夜、生と死のように性質の違う二つのものを意味します。二面性
・対立・対抗・争いの数とされます。
・古代ギリシアのピタゴラス派では「女」を意味します。
・他の数秘術では「男」を意味することもあります。
・陰陽五行説では偶数は「陰」の性質をもつ数です。
・キリスト教では「人間」「悪」を象徴する数とされます。聖書の創世記では2日目の部分に「それは善であった」「神は良しとされた」という言葉がないからです。
・ヨーロッパでは「智」の数とされました。
・動物の目、手足など。二組で一つになる組み合わせが多く、自然界では安定した組み合わせです。
・カバラのセフィロトでは「知恵・男性原理」を意味します。
3(三)
・東洋西洋をとわず世界中で調和・安定の数、バランスのとれた数とされます。
・世界中で3は神秘的で神聖な数とされます。
・キリスト教の三位一体(父・子・精霊)。エジプトの太陽神はケプリ(真昼)・ラー(日中)・アトゥム(日没)の側面をもちます。日本神話の最高神は三貴子(天照、月読、須佐之男)です。
・三つののものをひとまとめで扱う逸話や寓話が多いです。「三大◯◯」、「三人よれば文殊の知恵」。「三本の矢」「三匹の子豚」など。昔話でも「三兄弟」を題材にしたものが多いです。
・平均的な人間が瞬間的に理解できる物の数が3つまでだからともいわれています。
・我々の住む世界は3つの要素でできています。三次元世界は縦横高さでなりたっています。
・すべての色は「赤・青・黄」の三原色。光は「赤・青・緑」の三原色でできています。人間の目も「赤・青・緑」の光を感じる三種類の細胞が集まってできています。
・物を立たせるために最低限必要な足の数は3本です。足が1本や2本では常にバランスをとり続けるか固定しないと自立しません。そのため3は安定の数なのです。
・古代ギリシアのピタゴラス派では「男」を意味します。
・三角形は最も単純な空間図形です。そのため、プラトンは世界は三角形の集まりでできている、どんなものでも細かく分ければ三角形になると考えました。ちなみに現代のポリゴンはターミネーター2のように滑らかものでも三角形の集まりです。結晶をつくる分子の並びも三角形を基本にしています。プラトンの考えもあながち間違いとはいえません。直感的に真理を言い当てていたといえます。
・陰陽五行説では奇数は縁起の良い数。奇数の中で1を除けば最も数の小さい「3」はとくに好まれます。
・カバラのセフィロトでは「理解・女性原理」を意味します。
4(四)
・東洋や西洋をとわず「完成」を意味する数字です。一年は「春夏秋冬」、方位は「東西南北」などがあります。
・西洋では「火・水・風・土」の「四大元素」が万物の元と考えられました。
・「四神」「四天王」など。東洋でも4つの集まりを完成したものとみなす考えがあります。
・西洋では「忍耐」「強い意志」「調和」を意味する数字です。
・四角形は建築や容器の形によく使われます。「4」は西洋では実用的な数と考えられたので4にとくに悪い意味はありません。
・ピタゴラス派では10は完全な数と考えていました。1+2+3+4=10になるので。4は完全なものをつくるための要素と考えていました。
・ピタゴラス派では物質的な数とされます。
・中国では「四」の発音が「死」と似ているので不吉とされました。中国の影響で漢字を使う地域では「四」は不吉とされることもあります。「4」の数そのもの意味より漢字の「四」からくる連想です。
・とくに日本と朝鮮では「四」と「死」の発音が同じなので不吉と考える傾向が強くなりました。漢字を使わない韓国でも「4」を不吉と考える傾向が強いです。
・日本では平安時代から死の穢れを極端に嫌うようになり、「四」が「死」を連想させるので不吉と考えるようになりました。
・大和言葉では「四」は「よ」なので不吉ではありませんでした。古代の日本では「よ」は「良い」につながるのでむしろめでたい数とされました。出雲大社など伊勢神宮に継ぐ格式の高い神社は「四拍手」です。神道では神に拝礼する時の最高の作法は四度拝。四つの方向に拝礼する四方拝の儀式もあります。
・カバラのセフィロトでは「慈悲・優しさ」を意味します。
5(五)
・人間は胴体を中心に頭・両手・両足が伸びています。人間の指は5本。そのため、古代より5は完成された数、重要な数、人間の象徴と考えられました。
・ピタゴラス派では5は結婚の数と考えていました。男の数「3」と女の数「2」を足して5になるからです。
・ギリシア人やローマ人は「5」を魔除けの数と考えていました。
・古代エジプトの女神イシスを象徴する数です。イシスは魔法の女神、五芒星をシンボルにしました。五芒星は魔術の世界でもよく使われます。
・東洋の思想では「5」は大切な要素の集まりでした。仏教の五大(地・水・火・風・空)、五行説(木・火・土・金・水)。儒教の五倫、五常「仁義礼智信」、五感(もとは仏教の考え方)など。
・陰陽道で五芒星が重視されるのは「五行(木・火・土・金・水)」を意味するのも理由の一つです。
・イスラム教でも神聖な数です。祈りは毎日5回行われます。五行(礼拝・信仰告白・断食・喜捨・巡礼)は信者の努めとされます。
・カバラのセフィロトでは「規律・厳格さ」を意味します。
6(六)
・数学的には最初の完全数。完全数とはその数の除数(割れる数)の和になってること。1+2+3=6なので6は完全数です。また1✕2✕3=6もなります。数学的には面白い性質をもっているので古代の学者ピタゴラスやユークリッドも6は特別な数字と考えていました。
「完全数」の名付け親はピタゴラスです。でもピタゴラスがなぜ「完全数」と名付けたのかは謎です。
・聖書の創世神話では神が創造した6日間を意味します(7日目は休息の日なので働いたのは6日間)。そのため中世の学者は神が6日で世界を創造したので6は完全数と考えました。
・東洋の思想では6をひとつのまとまりにすることが多いです。六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)、六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)、六情(喜・怒・哀・楽・愛・憎)。六経(詩・書・礼・楽・易・春秋)儒教の経典など。
・イスラム教には6つの信じなければいけないもの(六信)があります。
六信とは、アッラーフ(神)、マラーイカ(天使)、キターブ(神の啓示)、ラスール(使徒・預言者)、アーヒラ(来世の存在)、カダル(定命)
・ユダヤ教では神聖な数です。
ユダヤ教の重要な儀式セーデル・シェル・ペサハでは出エジプト記にもとづく6つの食材が一つのプレートに載せられて出てきます。6つの食材はユダヤ人の意識を再確認して子孫に受け継ぐ重要な意味があります。
・キリスト教では、黙示録の獣の数「666」を連想するため「不和」「悪魔」を意味する数として忌み嫌う人もいます。天地創造の6日目に獣と人間が創造されたので「不完全」を意味する数ともされます。
・6は完全な数「7」の一つ手前の数。そこで不完全な数の中では最も完全に近い数とされます。
・カバラのセフィロトでは「美しさ・バランス」を意味します。
7(七)
・東洋や西洋で幸運の数・神秘的な数とされます。
・古代バビロニア人は空を移動する7つの星(太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星)があるのを発見。星を観察して暦を作ったり占いに使いました。7つの星は神々と結び付けられ、星は地上世界や人間に影響を与えると考えられました。
・7つの星はギリシアやローマにも伝えられ、ギリシアで「プラステレス(放浪する星)=惑星」と名付けられました。7つの星はローマの神と結び付けられました。ローマ帝国では7つの星にちなんで1週間=7日と決められました。
・7つの星はインドや中国にも伝わり暦や占いに使われました。
・ヘブライ神話(旧約聖書)の「創生記」では神が6日で世界を造り7日目に休息しました。そこでユダヤ教・キリスト教では7日目を聖なる日と定めました。
・ピタゴラス派では精神的な数「3」と物質的な数「4」を合計した数なので業容と考えられました。
・カバラのセフィロトでは「勝利・永遠」を意味します。
8(八)
・中東から東洋にかけて「8」を幸運・富の数と考える事が多いです。
・古代メソポタミアでは「神」の数字。八芒星は神のシンボル。観測できる7つの星の他に8番目の星がありそこが神々の住む楽園と考えられていました。また八芒星は豊穣の女神イナンナ・イシュタルのシンボルです。
・インドでは8は富と豊かさを意味します。繁栄の女神ラクシュミーのシンボルです。
・インドでは幸運の数。蓮の花びらが8枚に描かれることが多いです。
・イスラム教では天国には8つの門がある。アッラーに仕える8人の天使がいると考えられています。
・中国では「富」を意味する数です。「八」の発音が「發財=財をなす」の「發」の発音に似ているので縁起の良い数とされます。
・易の八卦では8つのシンボルを使います。天・地・人を表す三つの線にそれぞれ陰陽があり2✕2✕2で8。これの組み合わせすべての自然現象を占うことができるとされます。
・古来日本では八は数に関係なく「大きい」「多い」の意味でした。神道で最も格式の高い拍手は「八拍手」です。
・日本では漢字の「八」は「末広がり」といわれ「発展する」「栄える」の意味があります。
・カバラのセフィロトでは「栄光」を意味します。
・キリスト教では黙示録の第8の王が「アンチキリスト(偽救世主)」のため、縁起の悪い数字とされることもあります。
9(九)
・東洋・西洋でも縁起のいい数とされます。
・陰陽五行説では奇数は吉数。9は一桁の数では最高の奇数なので、最高に縁起が良い数とされます。
・中国では「九」は「究極」の「究」と同じ発音なので「無限」を意味する数とされます。
・ギリシアでは繁栄の数とされます。
・日本では「九」の発音が「苦」に似ているので縁起が悪いとされます。
・カバラのセフィロトでは「基礎」を意味します。
10(十)
・人間の両手の指は10本。そのためか東洋・西洋を問わず完成された数とされます。
・「十分」という言葉があるように、中国では「十」は最も満ちた数。ただしこれ以上の発展はない、と考えられたので一歩手前の「九」が最高に縁起がいい数とされます。
・西洋でも神の数。王を意味します。
・カバラのセフィロトでは「王国・物質社会」を意味します。
価値観によって数の意味は変わる?
古代から現代まで様々な国や時代の数にまつわる言い伝え・伝承を集めてみました。
地域によって似たような意味だったり。逆に意味が正反対だったりすることもあります。
それぞれの国の文化や国民性もわかって興味深いですね。
占いなどの意味もこれらの伝承が元になっていることが多いので、知っておくと意味がより深く理解できますよ。
また信じている宗教や習慣によって「良い意味」だったり「悪い意味」だったりします。
信じる人の価値観が違うと、数の意味も変わってくるのです。
なので人が悪いと言っているからといってそのまま鵜呑みにするのもよくありませんね。
あなたの価値観ではどうなのか?
それが大切なのです。
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