讃岐国の一宮は田村神社。香川県高松市にある神社です。
田村神社に行ってきました。高速道路・高松自動車道の高松西インターチェンジを降りて県道12号線を西に4kmほど直進すると田村神社です。駐車場があるので車はそちらに止めました。駐車場から行くと本殿の裏側から北参道を通って入ることになります。
前回は北参道を紹介しました。今回は表参道から紹介します。
田村神社
表参道は細い道に面してますが、高松琴平電鉄の一宮駅に近いです。表参道の鳥居まで駅から600mくらいです。
表参道を入ってみましょう。石造りの鳥居が見えます。
参道を歩くと手水舎があります。ここでお清めをします。
参道の横には力石がありました。江戸時代の人々が力比べをするために担いだ石のようです。
一番右の石は33貫と掘ってありました。約124kgもある計算になります。
力石の近くには鳥居が。歳徳神の額がかかっています。
こちらは納札所なんですね。こういうところにまで鳥居があるとは驚きました。
いよいよ本殿です。
石造りの新しい鳥居の奥には本殿があります。
和銅二年(709)創建されたといわれる古い神社です。現在の本殿は明治10年に再建されたもの。
一宮だけあって風格のある社伝です。
ご祭神は田村大神。倭迹迹日百襲姫命、五十狭芹彦命 (吉備津彦命)、猿田彦大神、天隠山命 (高倉下命)、天五田根命 (天村雲命)の総称だそうです。
御祭神は倭迹迹日百襲姫命
倭迹迹日百襲姫命(やまと ととひ ももそひめのみこと)。名前が長いので百襲姫(ももそひめ)と呼ばれることが多いです。
百襲姫は第七代孝霊天皇の皇女。弟の五十狭芹彦命とともに讃岐国に来て農業や殖産を広めたとされています。
百襲姫は預言者的な能力があり、巫女やシャーマンだったともいわれます。武埴安彦の謀反を予知したり疫病を治したりしたと言われます。現代なら超能力ですね。百襲とはたくさんの手柄あるという意味です。
卑弥呼と同一人物ではないかと言われることもあります。百襲姫のお墓は奈良にある箸墓古墳。卑弥呼の墓ではないかと言われている古墳ですね。
古代にはシャーマン的な人は何人もいたでしょうから、皇族(王族)で巫女だったからといって卑弥呼とは限らないのですが。そのくらいすごい人だということなのでしょう。
吉備津彦の姉ということで、吉備の勢力範囲だった備前国(岡山県東中部、後に美作国が分離)・備中国(岡山県西部)・備後国(広島県東部)・讃岐国(香川県)では女性の守り神、水の神として広く信仰されたようです。
五十狭芹彦命
五十狭芹彦命(ひこいさせりひこのみこと)は吉備津彦命(きびつひこのみこと)ともいいます。五十狭芹彦が本名です。
日本書紀では10代崇神天皇の時代、日本各地に派遣された四道将軍の一人。西国を平定し、吉備国に移り住みました。古事記では第七代孝霊天皇の時代、弟の稚武彦命とともに吉備を平定したと記されています。
吉備津彦命と温羅が戦った伝説は、桃太郎伝説のモデルになったと紹介されることもあります。
本殿の裏には奥殿があります。奥殿の中には深淵があって御神体になってます。この深淵には龍が住むという伝説があるんですよ。そのためか、田村神社には龍をモチーフにした像が多くあります。
桃太郎の不思議
境内には百襲姫と吉備津彦の像があります。
本殿からは離れます。北参道の近くにあるので探してみてください。
石碑の説明によると、この像は桃太郎(吉備津彦)が犬、猿、雉をつれて鬼ヶ島に向かうところをイメージしてるそうです。
あれ?
香川県側の伝説によると、犬(犬島)、猿(猿王)、雉(雉ヶ谷)の人々を連れて鬼ヶ島(女木島)に向かったのは稚武彦命(わかたけひこのみこと)じゃなかった?
岡山県側の伝説では、吉備津彦(本当の名前は五十狭芹彦)も桃太郎のモチーフということになってます。五十狭芹彦が倒したのは吉備を支配していた温羅(うら)という鬼(吉備の外から来た人)。温羅が住んでいたのは鬼ノ城でした。
古事記によれば稚武彦命も五十狭芹彦と一緒に吉備(岡山県)に派遣されたそうですし、二人とも吉備津彦と呼ばれることがあります。ややこしいですね。
普通は吉備津彦というと五十狭芹彦を意味します。
稚武彦命は百襲姫と吉備津彦の異母弟。高松市鬼無にある熊野権現(桃太郎神社)に祀られています。
昔話は各地に伝わってバリエーションがあるので面白いですね。
じつのところ古墳時代に活躍した吉備津彦や稚武彦命は桃太郎とは直接関係ないです。どちらも肝心の「桃」が登場しません。どこにでもある英雄が賊を退治するお話です。無理に桃太郎に結びつける必要はないのですが、町おこしのためにみなさん必死ですね。
稚武彦命と五十狭芹彦の伝説が合体したようなこの像は桃太郎伝説の混乱ぶりを象徴しているようで面白いです。
まあ、難しいことは考えずに楽しんじゃいましょう。
宇都伎社
本殿の隣には宇都伎社(うつぎしゃ)があります。
ご祭神は、大地主神と倉稲魂神。
大地主神(おおじぬしのかみ)とはその土地の神様。田んぼの神様でもあります。古くからあった地元の守り神なのでしょう。
倉稲魂神(うかのみたまのかみ)は穀物の神様。
本殿の田村大神が水の神様です。
田村神社には水、土地(田)、穀物の神様が揃っていることになります。田村神社には稲作に深く関係した神様のようですね。
素婆倶羅社
宇都伎社のとなりには素婆倶羅社(すばくらしゃ)という変わった名前のお社があります。
ご祭神は少名毘古那神、大年神、塞神、大水大神、菅原神。
少名毘古那神(すくなひこなのかみ)は医療の神といわれることもありますが、酒造の神でもあります。
塞神(くなどかみ)は牛馬の神様、豊穣の神様ともいわれます。
安産、縁結び、夫婦和合の神様ともいわれています。そのため周囲にはご利益にちなんだオブジェがたくさんおいてあります。
こちらは安産、子宝の犬。
他にも驚くようなものもあります。
数珠のようなひものついた鐘があったり、お線香をあげるところがあったり。仏教的な雰囲気のするお社です。
見れば見るほど不思議なところですね。
ところで。
宇都伎社の社伝の前には龍の像があります。
龍神にまつわるお話はのちほどくわしくお話します。
田村神社のアクセス
電車
高松琴平電鉄 琴平線 一宮駅下車 徒歩約10分
車
高松自動車道・高松西インターチェンジより車で約10分。
高松自動車道・高松中央インターチェンジより車で約15分。
Official Website 田村神社
住所 香川県高松市一宮町286
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