大黒天・弁財天・毘沙門天・恵比寿・布袋・寿老人・福禄寿。出身や役割の違いをとびこえた七神がユニットを組んだのが七福神。今では人々に幸福を与えてくれる神様として人気ですね。
七福神とはどんな神様なのか。
どんなご利益があるのか紹介します。
七福神たち
大黒天
もともとはインドの神様。ヒンズー教のシヴァ神の化身マハーカーラ。マハーは「大きい・偉大な」、カーラは「黒」。密教に入り大黒天となりました。マハーカーラはインドでは戦いの神でした。
中国に伝わって食料の神になり、食堂に祀られました。日本でも台所に祀られることが多く、食べ物の神様と考えられました。
大黒という名前が大国と似ていることから、大国主神と同じだと考えられました。
大国主神は農耕の神でした。米は最も重要な農産物であり食べ物。そしてお米はお金の代わりです。大国主神は国を作って発展させたことから人間関係や仕事の神様としても信仰されます。
江戸時代になると大黒天は米俵に乗り、打出の小槌と福袋を持った姿で表現されるようになりました。
ネズミを眷属にしています。
ご利益
五穀豊穣、出世開運、金運、商売繁盛、子宝、子育て
弁才天
もともとはインドの女神サラスヴァティー。河と水の女神です。密教に入って弁才天になりました。
水は農作に必要なので豊穣の女神の性格もあります。河の流れが音楽に例えられたことから音楽・芸術・弁舌の神になりました。
インドでは8本の腕で武装した姿で表現されることもあり、悪魔と戦う神としての性質もあります。
日本でも水の女神と一緒にされ各地で祀られました。
財の字が才と発音が同じ。財運のご利益を強調するときは「弁財天」と書くこともあります。
ご利益
五穀豊穣・音楽・芸術・弁舌・知恵・蓄財・魔除け
毘沙門天
もともとはインドの神クヴェーラ。インドの古い神話では夜叉の一族で不死の体をもち宝の山に住んでいたといいます。仏教では北の守り神となり、四天王のひとつとなりました。仏の教えをよく聞いたことから「多聞天」ともいいます。名前の意味を訳したのが「多聞天」、発音を漢字に置き換えたのが「毘沙門天」です。
日本では単独で信仰するときは「毘沙門天」、四天王の一員としては「多聞天」とよぶことが多いですね。
戦いの神、仏法の守護神として信仰されました。武将に人気のあった神様です。北を守る神だったので平安京の北部にある鞍馬山に安置され崇拝を集めました。
江戸時代には宝の神として注目され財運の神としても人気がでました。武将の姿なのに財運の神とは意外ですよね。でもインドにいたときは宝の神だったのでおかしくはないのです。
甲冑をつけ、右手に宝棒(棍棒のようなもの、三叉戟を持ちこともあります)、左手に宝塔、足元に邪気を踏んづけた姿で表現されることが多いです。
ご利益
武道上達・勝利・魔除け・家内安全・財運・無病息災
恵比寿
鯛を釣って笑い顔で抱えている姿が特徴的な恵比寿様。見るからにご利益がありそうな姿をしています。
日本の神様には姿形が決まっていない神様が多いです。でも恵比寿は「魚釣りをしている」「鯛(高価な獲物の象徴)を釣った」というわかりやすいイメージがありました。労働している姿が神になるのも日本的です。
恵比寿はもともとは漁業や航海の神様。魚市場の神様として祀られていたのがしだいに商売のご利益と結びつきました。
「エビス」は夷・戎とも書き。もともとは「外からやって来る人」という意味です。外から来る人は「自分たちにないものを持っている」=福を運んでくる。と昔の人は考えたので福の神にエビスと名前がついているのです。日本人の舶来品好きをそのまま名前にしたような神様です。
正体がいくつもあるのも恵比寿様の特徴です。
ひとつは 蛭子神(ひるこのかみ)
ヒルコはイザナギ、イザナミの子供として産まれましたが海に流されました。その後、海を漂流して流れ着いて成長した姿が恵比寿という説です。
もうひとつは事代主(ことしろぬし)。
魚釣りが得意な出雲の神様。国譲りで海の彼方に姿を隠しました。戻ってきて人々に福を与えてくれるというものです。
他にも説はありませす。でも神社でお祀りされている恵比寿様は多くが蛭子神か事代主のどちらかです。
ご利益
大漁・航海守護・商売繁盛・五穀豊穣
布袋
でっぷりとした体に満面の笑み。大きな袋を手にした。体格のいい神様。それが布袋尊(ほていそん)。
もともとは唐の時代に実在した禅僧だといわれます。いつも笑顔で、袋を持って悠然と歩いていました。袋は托鉢のお米を入れてもらうために持っているものですが。いつしか福が詰まっていると考えられました。人々は布袋を弥勒菩薩の化身だと信じたことから神様として信仰されました。
手にした袋は一説には堪忍袋だともいわれます。人々を円満にし、人を招くともいわれます。
もとが僧侶だけに水墨画の素材としてもよく描かれます。
ご利益
客が増える・家の運が上がる・商売繁盛・家庭円満
寿老人
道教に登場する伝説上の仙人です。南極老人星(カノープス)の化身といわれます。カノープスは夜空に輝く恒星の中でシリウスに次いで2番めに明るい星です。
この星を見ると長生きできると言われました。寿老人も1500年生きたといわれています。
鹿を連れていることが多いとされます。この鹿は 玄鹿(げんろく=黒い鹿)と言われ不老の象徴です。
樹老人と呼ばれることもあり、樹木の生命力を象徴するという説もあります。どちらにしても健康で長生きできる神様として信仰されています。
ご利益
健康で長生き・寿命を伸ばす・家庭円満
福禄寿
道教の神様。宋の時代に実在した長生きの人物を神格化したものといわれます。
福禄寿は長い頭、長いあごひげ、大きな耳の老人。手には宝珠と巻物を持つ姿で描かれます。長生きの象徴の鶴と亀を従えている姿で描かれることも多いです。
道教では
・福=子供に恵まれること
・封録=財産が増えること
・長寿=健康で長生きすること
3つのご利益を得ることが最大の目標になっています。
福・封録・長寿をあわせると「福禄寿」。道教ではご利益てんこ盛りの神様として人気があります。
ご利益
財運・延命長寿・人望が集まる・出世
日本では福禄寿と寿老人は同じと考えられることもあります。
その場合は寿老人がはずれて吉祥天が入ることがあります。
このように、七福はご利益の大きな個性あふれる神様があつまったもの。見た目にわかりやすいのも人気がある理由かもしれません。
あなたのお目当ての神様はみつかったでしょうか。
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