こんにちは。たかふみ@開運日和 です。
庚申(こうしん)の日はあまり聞き慣れない言葉かもしれません。現代でも暦に庚申の日が載っています。
庚申には物事が終わり・新たなものが始まるという意味があり。慎み深くする日と考えられたこともあります。そのため平安の昔から神様に罪を報告されるのを避けるため、一晩中起きて過ごす庚申待ちという習慣がありました。
でも後の時代には庚申の日には神様仏様に祈りご利益や開運を願う行事も行われてきました。
つまり庚申の日は開運アクションを起したり、神社仏閣のお参りして祈願する日といえるのです。
この記事では庚申の日の歴史と縁起。現代的な視点での庚申の日のスピリチュアルな意味と過ごし方を紹介。
あなたも庚申の日に開運してみませんか?
庚申の日の縁起と歴史
庚申の日とは?
あまり知られていませんが1年365日のすべての日に六十干支が割り振られています。60日で一廻りします。庚申も六十干支のひとつです。
庚申の日とは。その日の六十干支が「庚申」になってる日のこと。
かなり詳しい暦でなければ載ってませんが。このページに今年の庚申の日を載せておきますので参考にしてください。
庚申信仰のルーツと三尸の虫伝説
庚申信仰は古代中国の道教思想を基に日本古来の神道思想と融合した民俗信仰の一つです。
三尸の虫伝説とは
庚申のルーツは古代中国の三尸の虫伝説にあります。その起源は古く。三尸の原型は漢の時代に書かれた「緯書」に登場します。この三尸が道教に取り入れられて発展しました。
「太上三尸中経」によると。人の体内には三尸(さんし)という虫が住んでいて、60日ごとに巡ってくる庚申の夜に抜け出し天帝にその人の罪を報告して人の寿命を縮めようとしている。と考えられました。
三尸には上尸・中尸・下尸の3種類がいて2寸ほど。
それぞれ澄んでいる場所と形が違うといいます。
上尸(じょうし):頭、人の形をしている。
中尸(ちゅうし):腹、獣の形をしている。
下尸(げし):足、牛の頭に人の足がついたような姿をしている。
唐の時代の三尸の虫の姿
この三尸は人の体の中に閉じ込められていて、人が死なないと自由になれません。そこで普段から病気を起こしたりして人の命を縮めようとしています。
庚申の日には天帝のもとにすべての神や使い魔が集まり、天帝に人々の善い行いや悪い行いを報告するとされました。その功罪によって人の寿命が決められるとされます。
そこで三尸は人が寝ている間に密かに外に出て天帝に報告に行くというのです。三尸は人が死ぬことを願っているので悪いことしか報告しません。
この三尸の虫の密告を防ぐために庚申の夜には徹夜で過ごし眠らないようにすることが重要と考えられていました。その行事を「守庚申」とか「守庚申会」と言います。
しかも1回だけではダメです。3回すると虫たちは怯えだし。7回すると虫たちは死んでしまう=告げ口されないので寿命が縮まない。と言われます。
最初は道教の行事でした。やがて仏教徒も行うようになり、仏教では青面金剛(しょうめんこんごう)が祀られるようになりました。
青面金剛はインドにはない中国で生まれた仏法の神。青面金剛夜叉ともいいます。もともとはインドの明王だったのですが、姿だけが中国に伝わって独自の信仰が生まれました。疫病を退散させる夜叉神とされています。
三尸は寿命を縮め病気をもたらします。それに対抗するために恐ろしそうな疫病退散の神が選ばれたのでしょう。
唐や宋の時代に流行りました。
南宋時代に孟元老という人が北宋の時代の開封府を懐かしんで描いた「東京夢華録」という本があります。「東京夢華録」には都の開封府の人々が守庚申をしている様子が描かれています。北宋の時代にはすでに都の人々の間では広く行われていたようです。
清朝時代まで続きましたが、そのころになると観音信仰もまざって現世利益を求める人もいたようです。
日本の庚申信仰
平安時代。唐から帰った僧が「守庚申」を日本に伝えました。
日本では「庚申待ち」として行われていました。平安時代に行われていたものは唐の「守庚申」に近いものでした。
清少納言や紫式部もしていた庚申待ち
清少納言の「枕草子」や紫式部の「紫式部日記」にも庚申待ちの様子が描かれています。宮中ではもちろん公家社会ではかなりポピュラーな行事だったようです。
人気になりすぎて死者が出る
庚申待ちは一晩中起きていなければいけません。でも一人で起き続けるのは難しいので人々が集まり、一晩中飲んだり食べたり騒いだりして過ごします。
娯楽の少なかった当時では、人々が夢中になれる娯楽にもなりました。ちょっとしたお祭り気分です。でも庚申待ちの熱狂ぶりは凄まじかったらしく。宮中の女官が死亡する事件も起きました。そこで朝廷は禁止令を出したのですが、それでも人々は庚申待ちをしていました。
それほど人気があるなら当然公家から武家、やがて庶民も真似するようになります。
でもやがて最初の意味は失われ。いろいろな神様にお願いして願いを叶えてもらう行事になっていました。ご利益のある神様にすがるのは当然です。
願いを叶えるイベントに江戸時代の庶民も熱中
室町時代のころから庶民の間に広がり、江戸時代には日本各地で庚申待ちが流行しました。大名家も領内の民が庚申待ちをするのを許可。というより奨励していたようです。民が不満を溜め込んで一揆でも起こしたら大変ですからね。
庶民の行事になった庚申待ちはますますご利益中心や娯楽のためのイベントになり。もはや三尸伝説はどうでもよくなり。とにかくご利益のある神様にお願いするようになったようです。
やがて明治になると庚申待ちは廃れました。町に映画や様々な娯楽が増えたこともあり、一晩中起きて騒ぐイベントに魅力を感じる人がいなくなってしまったようです。
庚申の神様は誰?
庚申という神様はいません。
庚申待ちという行事は続きましたが時代とともに信仰される神様仏様は変化しました。
基本:帝釈天と青面金剛
唐代には天帝が中心になり中国仏教会では青面金剛が信仰の対象になりました。日本でも平安時代の公家たちは唐を真似ていました。でも道教が普及していない日本で天帝と言われてもピンときません。
日本では仏教関係者が広めたもので天帝は帝釈天に置き換わりました。青面金剛も日本に伝わりましたが庚申専用の神になってしまいます。
青面金剛は帝釈天の眷属(部下)。
青面金剛が三尸の虫を食う。
という設定になってしまいます。
仏教:仏なら何でもいい
しかも阿弥陀如来・大日如来・薬師如来・地蔵菩薩・観世音菩薩などご利益のありそうな神仏なら何にお願いしてもいいことになってしまいます。
神道:猿田彦神・山王権現、猿系?神様
庚申人気の高まりに神道関係者も注目。
神道では猿田彦神にお願いすれば願いが叶うという行事になりました。他にも山王権現(日吉大社の神)も信仰されました。
庚申の申は「さる」の意味ですから。猿をイメージする神様の猿田彦神が選ばれました。でも猿田彦は名前に猿の字が入ってますが猿の神様ではありません。願いを叶えたくれれば何でもいいのです。
猿田彦神意外には猿を神使にしている山王権現(日吉大社の神=大山咋神)が信仰されました。
ここから「さる」にちなんで「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿信仰になっていきます。意外なところに繋がっているものです。
三尸の虫が三猿になってしまったのですね。密告者が言わない・見ない・聞かないものになってしまいました。こうなると最初の三尸伝説の面影はありませんね。かろうじて3つのキャラクターという設定が残っているだけです。
民間信仰:何でもアリ
さらに地方では山の神・海の神・鎮守様・産土神・道祖神などお願いできる神様なら何でもいいということになり。よくわからないけど庚申の日に「神様」にお願いすれば願いが叶う。というイベントになってしまいました。
江戸時代までの庶民って意外とよく知らない神様でも手を合わせていたんです。
かなりのカオスぶりです。
日本の信仰のいいかげんさというかおおらかさがよくわかって面白いですね。
庚申日のスピリチュアルな意味
現代では庚申待ちは廃れましたが。庚申の日は選日として残っています。
現代的なスピリチュアルな感覚だと庚申の日はどんな意味があるのか紹介します。
古い習慣を捨て、新しく生まれ変わる日
庚申(こうしん)は「かのえさる」
陰陽五行説では次の意味があります。
庚(こう):金の陽。物事が止まり新たに始まる。
申(しん):金の陽。伸びる。成熟。老衰。
現代的な感覚だと金は金運を思い浮かべがちです。
ところが伝統的な五行説では金(ごん)は金属、とくに刃物のような冷たさや危うさ意味し。それが陽ですからより活発になっている。
なので伝統的な五行説的には庚申は危険な日となり、慎重になって大人しく過ごしたほうがいいという意味になります。
三尸の虫が天帝に罪を報告すると言われたのも庚申の日が危険な日だから。これを現代的に解釈すればトラブルを避けて慎重に大人しく過ごしたほうがいい日となります。
でも決して悪い意味だけではありません。
いったん古いものは終わるけれども物事が新しくなる。という意味もあります。
庚申の日は悪い習慣を止めるきっかけにしたり。新しく何かを始めるのにはいい日なのです。
金運アップの日
先ほども書いたように庚も申も金の陽の気をもちます。
これを文字通り「金運」「ポジティブ」と考えれば。
金運が上がる✕2ですから金運アップの日になります。
でも庚申は慎重に行動したほうがいいという意味もありますから。ギャンブルや投機的な運用は止めたほうがいいです。それよりも堅実な稼ぎや貯蓄を始めるのにはいい日といえますね。
積立貯金。
貯蓄。
無理のない範囲で始める長期投資。
財布の更新。
などがおすすめです。
無理のない範囲で明日に向かって新たな資産作りを始めてみるといいかもしれません。
自分を見つめ直す日
庚申信仰は三尸の虫が神様に自分の悪行を報告するという言い伝えでした。
というわけで、自分自身の今までの言動や生活習慣を振り返って反省する日にするといいかもしれません。
忙しい現代人はついつい普段の行いを忘れがち。よくない部分を見つめ直して改めるきっかけにするのも良いかもしれません。
開運の日
庚申信仰では神様仏様に祈って開運を祈願する風習がありました。そこで神様仏様に祈願する日にしてもいいかもしれません。
もちろん日ごろの行いを反省して神様仏様に感謝することも忘れないようにしましょう。
神社仏閣にお参りする日
庚申の日は特定の神様仏様に関わりがある日と考えられました。なので次の神様仏様をお祀りする神社仏閣に参拝して祈願してはいかがでしょうか?
・帝釈天
・青面金剛
・猿田彦神
・大山咋神(山王・日吉社系)
・その他の猿とゆかりのある神社仏閣
をお祀りしている神社仏閣に参拝に行くといつもよりご利益があるかもしれませんね。
2024年の庚申の日
庚申の日は1年に6回おとずれます。
2024年の庚申の日は以下の通りです。
2月26日(月)大安
4月26日(金)
6月25日(火)
8月24日(土)
10月23日(水)大安
12月22日(日)
庚申の日・まとめ
庚申の日は古くから続く習慣です。時代とともに内容も意味も変わってきましたが。現代でも選日として残っています。
庚申は物事が終わり・新しく始まるという意味があり。慎むべき日とされたこともあります。日頃の反省をして、新たな一歩を踏み出す日と考えるといいかもしれません。
その一方で庚申の日には人々はご利益を願って様々な神仏に祈ってきました。神社仏閣に行って祈願するといつもよりも願いが叶いやすいかもしれません。
庚申の日は伝統があり、様々な解釈ができる日ですが。現代的な視点を取り入れることで、あなたにとって価値のある特別な日にすることができます。
この記事を参考に、あなたに合った過ごし方を見つけて庚申の日を充実した一日にしてくださいね。
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